2026.09/01日号|『ファシリテーションの教科書』に学ぶ論点思考の技術ーAI環境下でのリサーチャーの優位性を構築する
●②論点の展開(議論を広げる問いかけ)
購入以降、積読していた『ファシリテーションの教科書』を読みました。この1~2年の間にワークショップの開催経験を重ねていく中で、実践で得た運営の勘所を形式知として理解できる内容になっており、結果的に最適なタイミングで読むことができました。

このように書くとリサーチ周辺のベーシックスキルを強化しているように思えますが、個人的にはAI時代に必要な先端スキルを学ぶ感覚で読んでいました。AIスキルそのものも重要ですが、この領域がリサーチャーには本命の拡張スキルだと思っています。
リサーチ実務の仕事(依頼・アサイン)は間違いなく減ります。AIを活用して誰もが調査票やレポートの作成ができる状態が現実となり、(実際にはその品質はおぼつかないものの)表層的には「専門家に作業を依頼するまでもない仕事」となっています。
組織内でリサーチに従事する人は、従前からの閑散期の要領で対応するなら、定点調査の運用や後輩の教育が代替的な主務となりますが、これらの仕事は(組織内で必要とされているとしても)、自身の能力開発(価値向上)にはほとんどつながりません。
あらためて今のAI環境に照らすと、選択・判断の業務工程には人の介在価値が強く認められています。従来の観念では定性的と見なされていた「意思決定への貢献」が、マネジメント業務の責任増と比例してその仕事価値が高く評価される状態にあります。
幸い、他職種の立場では「これからファシリテーションの技術を新たに磨くのもなあ…」という思考になるのが一般的で、学習の労力が実務の成果に結びつくまでの時間的な距離を思うとき、AIスキルそのものを伸ばす方がよほど合理的な状態にあります。
このハードルは私たち自身もそう感じてはいるのですが笑、ワークショップはマーケティング領域からもデザイン領域からも始めやすいことや、何より人間の行動や思考を理解するという志向性が活きるので、希少スキルによる優位性を確立できます。
もちろん仕事の評価は計画と実行の品質次第であり、参加者としてのワークショップの失敗確率を思うと障壁の高さを感じますが、AIによって意思決定シーンが増えるいま、可能性がまだこれだけ残されている、という心持ちでいるのが良いでしょう。
今回のレターでは『ファシリテーションの教科書』の内容を題材に、本の中身の見どころの共有というよりも、リサーチャーがこのスキルを学習する意義や強みを発揮できる領域はどこか、という観点からレポートします。
🔍リサーチハック 101(2026.09/01日号)「『ファシリテーションの教科書』に学ぶ論点思考の技術ーAI環境下でのリサーチャーの優位性を構築する」
●①論点の整理(論点の地図)
●②論点の展開(議論を広げる問いかけ)
