2025.08/01日号|エキスパートレビューを事業会社のリサーチ業務として成功させる3つのコツ

●①評価対象とするユーザーフローにはメリハリをつける
●②評価の納得感が成立する会員・顧客のランクを決める
●③評価対象物の内容や状況がイメージできるレビューコメントを心がける
菅原大介 2025.08.01
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デジタルプロダクト特有の調査手法に「エキスパートレビュー」があります。エキスパートレビューとはウェブ調査の専門家によるサイトやアプリの診断調査のことで、通常はユーザビリティ、アクセシビリティなどの現行評価を知る目的で行われています。

内容の専門性が高い調査なので、事業会社では基本的にまるっとサービスの提供会社にお任せすることになります(ビジネス部門の人にとっては、市場調査の取り組みにおける「専門家インタビュー(スポットコンサルティング)」が近いかもしれません)。

しかし丸投げにしていてよいかというと答えは全くNOで、納品を受けた後にはもちろん社内で専門家の診断結果に対する受け止め(受け入れ)があり、この時に評価の納得感・信頼性・公平性がどの程度担保されているかで調査の成功の可否が分かれます。

もちろん評価そのものに依頼元が干渉していては診断調査の意味が無くなってしまいますが、支援会社でも意外と事業ドメイン(サービス分野)の理解が浅いことで評価にブレが生じたり、自社で重視している箇所が掘り下げられていないこともあります。

つまり専門家調査でありながら評価に納得感や信頼性を出すには依頼主側も調査のディレクション能力が求められるのが実際であり、定常的な調査と同等、あるいはそれ以上に支援会社と事業会社双方の協力体制が求められるのがエキスパートレビューです。

とはいえ同一サービスで何度も運用するタイプの調査ではないため、事業会社側の担当者が業務の勘所がつかめずにプロジェクトが満了してしまうケースもざらにあります。結果、もともとの調査運用経験者が少ない→組織に経験が貯まらないという状況に。

そこでこのレターでは、エキスパートレビューの勘所を運用面に焦点を当てて解説します。支援会社のスタッフ向けにはユーザビリティの原則をはじめとする情報がありますが、事業会社の担当者向けにディレクションのコツをお伝えできていたら幸いです。

最近ではデザインのプロトタイプに対してAIで自動レビュー(フィードバック)を行う方法がホットな話題となっています。エキスパートレビューの運用はこれと近い面があり、「レビュー(診断調査)の設計スキル」という観点からもお楽しみください!

🔍リサーチハック 101(2025.08/01日号)「エキスパートレビューを事業会社のリサーチ業務として成功させる3つのコツ」

●①評価対象とするユーザーフローにはメリハリをつける
●②評価の納得感が成立する会員・顧客のランクを決める
●③評価対象物の内容や状況がイメージできるレビューコメントを心がける

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